道を開く:より直接的なパスのための準備
Ashley Wheeler
9月 3, 2024 | 1 min read
前回の投稿では、セルサイドが広告の未来をどのように決定づけるか、そしてパブリッシャーがどのようにしてファーストパーティオーディエンスをプライバシーに配慮した形で特定、提示しようとしているかについて説明しました。バイヤーは効率性や透明性を追求することに加え、最適化、およびパブリッシャーやサプライサイドパートナーとの戦略的パートナシップの構築を目指しています。今回は、そのような状況において、パブリッシャーがファーストパーティに関するセラー定義の戦略を使用し、サプライパス最適化(SPO)に向けて備えるための方法について説明します。
サプライパスの連結を超えて
市場の動向を受け、SPO、そして互いにより直接的に連携したいというバイヤーとセラーの思いが注目されることとなりました。たとえば、The Trade Deskが訴訟を経てGoogle Open Bidding(OB)のインベントリの使用を停止し、YahooやAmobeeも同様の措置を講じました。また、Googleのヘッダー入札の代替に対する規制当局の関心も依然として高い状態です。今後、パブリッシャーはより直接的な代替のサプライパスを模索し、ファーストパーティデータにフォーカスして収益を維持、成長させることが必要になってくるでしょう。
「シグナルの損失」、そして最終的なサードパーティCookieの廃止に伴い、SPOのゴールポストは変化しています。当初はサプライパスを統合して、透明性と効率性を重視する取り組みとして始まりましたが、今では、オーディエンスのアドレサビリティや測定可能性を将来にわたり提供できるパスに連結することも重要となっています。そのためバイヤーは、より優れたデータの利用可能性、より優れたオーディエンスキュレーション、良質なコンテキスト情報を提供するパブリッシャーのサプライパスを通じて、より戦略的に動くようになるでしょう。
サプライサイドのコラボレーションへ
SPOは、サプライサイドと密に連携したいというバイヤーの願いを強め、効率性、アドレサビリティ、透明性、測定の改善の必要性を高めるものであり、また、その結果を示すものでもあります。パブリッシャーとユーザーとの関係は、そのような要件を満たす独自のデータや環境が獲得できという点で価値があります。バイヤーは、オーディエンスに、より効率的にプライバシーに配慮した手法でリーチできるためです。
バイヤーは、より価値の高いサプライパスへの投資を継続しています。プレミアムマーケットプレイスやSeller Defined Audiences(セラー定義オーディエンス、SDA)、データマッチングといった幅広い手法でオーディエンスとインベントリを特定、キュレーション、提示する責務は、パブリッシャーにあります。またパブリッシャーは、それぞれの手法とそれを展開するパスに、データと消費者のプライバシーを維持するために必要な保護機能と制御機能が確実に組み込まれるようにする必要があります。そこで、SSPが重要な役割を担うのです。
パブリッシャーにとってこれが何を意味するのか
このような業界の大きな変化は、イノベーション、コラボレーションにつながるチャンスをもたらします。パブリッシャーとSSPはどちらも、ファーストパーティデータやコンテキストに関する情報を収集して理解するためのより良い手法、セグメンテーションやキュレーションの改善、より直接的でプライバシーに配慮した形でオーディエンスをバイサイドに提示でできる手法を模索しています。
標準化されたオーディエンスコホートを超える
パブリッシャーは、ユーザーを標準化されたオーディエンスコホートにマッピングするだけではなく、この標準ラベルの外にあるオーディエンスに着目して、コンテンツ、キーワード、行動をパブリッシャー自身の分類法でマッピングするべきです。この例としては、ブランドによる分類法、ユニークな関心のカテゴリ、カスタムのオーディエンスピクセルの使用などが挙げられますが、これらはページ滞在時間やページ訪問回数など、コンテキストを反映した貴重なイベントの情報をもとに、ユニークなオーディエンスを特定してアクティブ化できる方法です。このようなユニークなオーディエンスに着目することで、パブリッシャーは、プレミアムマーケットプレイスとSDAの両方で収益を最大化できるようになります。
カスタムの分類法とページ上のイベントに基づくマッピングにより、コンテキストに関する詳細な情報が獲得できるようになります。また、識別子が利用できない場合に、行動ターゲティングの代替となるコンプライアンスに準拠した補完的な手段として使うこともできます。
プライバシーに配慮した手法でオーディエンスを見つける
より直接的な手法でオーディエンスのアクションを促進するには、何かしらの保護層が必要です。オープンマーケットでSDAが通過した際に他のすべてのデータを削除したり、クリーンルームとデータマッチングサービスを使用して比較的IDベースに近いトランザクションでユーザーデータを保護することで、これは可能です。たとえば、キュレーションされたマーケットプレイスであれば、パブリッシャーは多様なファーストパーティデータをより幅広く供給できるようになります。このようにすることで、複雑なデジタルマーケットプレイスで自身の広告サービスを差別化する手段を獲得できるようになるとともに、データの所有権と管理能力が維持できます。
コラボレーションの探求
密なコラボレーションは、デマンドサイドとサプライサイドの両者に多くの利益をもたらします。ブランドや代理店はSSPと連携することで、さまざまな最適化機能を獲得でき、また、オーディエンスのキュレーションに関してより影響力を持てるようになるため、ブランドや代理店のクライアントのニーズに合わせられるようになります。そして、測定の精度を向上させたり、広告に関する説明責任(例:環境への影響)を担うことも可能になります。さらに、コストの低い、取引場所としての利点をすべて備えたパスの提供もできるようになります。パブリッシャーは、予算額を増やして収益を伸ばすとともに、自身のファーストパーティデータを管理してオーディエンスの価値を維持できるようになります。
利便性に勝る品質
GoogleがサードパーティCookieの廃止をさらに延期したこととは関係なく、パブリッシャーの手元には、すぐにでも活用できる非常に価値のあるデータがあります。パブリッシャーにとって、今こそが、SDAなどの手法を用いて断片化した要素をまとめ、ファーストパーティの登録データを最大限に活用するタイミングです。このような独自のシグナルをまとめ上げることで、SafariやFirefoxといったすでにCookieを使用していない環境における競争上の優位性をマーケティング担当者に与えられるようになります。同時に、将来的にCookieレスとなる環境(Chromeなど)に備えることも可能です。マーケティング担当者は、パブリッシャーやそのSSPと密に連携して、そのようなオーディエンスに関するチャンスを活用するべきでしょう。
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